『本当にpHを調整できるの?』
肥料や有機物によっては畑に入れすぎると酸性に傾く恐れがあります。
と言われます。
生ゴミの中にも、pHを調整できる役割のあるものがあります。
「貝殻」、「タマゴの殻」、「コーヒーかす」
が挙げられますが、実際にどの程度の変化があるか、調べてみました。
工夫して野菜を作りたい方、生ゴミを有効活用したい方向けの内容です。
- かき殻の土壌改良効果
- タマゴの殻の土壌改良効果と液肥の作り方
- コーヒーかすの土壌改良効果
pHを調整できる有機物

かき殻、タマゴの殻、コーヒーかすについて今回フォーカスしていきます。
かき殻とタマゴの殻は土壌の酸性度をアルカリ性に。
コーヒーかすは土壌酸性度を酸性に傾ける効果があります。
かき殻は有機石灰の代表格。
タマゴの殻とコーヒーかすは、肥料成分も含め優秀な生ゴミです。


今回は、副作用のpHについて解説していきます。



かき殻のスペックから説明していきます。
かき殻の魅力


肥料の種類 | 配合比(%) | 効き方 | ||
---|---|---|---|---|
チッソ(N) | リン(P) | カリ(K) | ||
かき殻 | 0.29 | 0.18 | 0.12 | 緩効性 |


かき殻はアルカリ分50%の有機石灰です。
かき殻は消石灰、苦土石灰に比べて効き方が緩やかです。
主成分は炭酸カルシウム。
その他、ケイ酸、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、モリブテンの微量要素やミネラルを含む、ハイスペック生ゴミです。
写真はかき殻を砕いたものです。
市販されているかき殻石灰は粉状になっていますが、分類としては普通肥料。
写真のような砕いたかき殻は特殊肥料に分類されます。
使用目安:100g/㎡
注意点


塩抜きをし、天日干し



かき殻に限らず貝殻はお湯に通して塩抜きします。
かき殻に限らずは貝類の塩分を落としてから使用します。
塩分を抜くには、調理後の貝を一度お湯に通します。
過剰な塩は畑で有機物を分解する微生物の天敵となります。
少量なら問題ないですが、なるべく落とすようにしていきましょう。


塩抜きし、水気を切り、日当たり、風通しの良い場所で天日干しを行います。
天日干しの期間は1~2週間程度。
使い方



使い勝手と分解に時間が掛かり過ぎるので細かく砕いていきます。


ハンマーを使い殻を砕きます


なるべく小さくなるように砕き続ける
そのままの状態で畑に投入しても、分解に相当の時間を必要とする為、細かく砕いていきます。
1㎝角以下まで砕きます。
さらに粉状にする場合は、ミキサーを使用します。
有機石灰として使用する


定番の使い方です。
アルカリ性に傾ける特性を利用し、有機石灰として使用します。
粉状のものは効き目が早く、大きくなればなるほど、効き目が遅くなります。
また、砕いた大きさにより、畑に残る時間も変わります。



大きければ大きいほど分解に時間がかかります。
液肥を作る(酢酸カルシウム)
酢に付け込んで「酢酸カルシウム」を作ります。
その素材はかき殻、タマゴの殻、いずれでも作ることが出来ます。
簡単に作り方を解説。



タマゴで作成したものです。
かき殻でも同じ流れで作っていきます。
- お酢 200cc
- タマゴの殻 2つ分 もしくは かき殻 2つ分
- スプレーボトル
- 水




タマゴの殻内にある膜を取り、乾燥させてから使用します。
乾燥する時間がないようでしたら、フライパンで加熱します。



かき殻を使用する場合も同様に、塩抜きし、乾燥させたものを砕いておきます。




お酢200ccに先程砕いた殻2つ分をつけます。
ラップをし、一晩寝かします。




殻を取り除きます。
取り除いた状態が液肥原液になります。
コーヒードリップ用の紙を使用し、ろ過していきました。


スプレーボトルに希釈しながら移し替えます。
希釈率は
300~500倍を目安に行いましょう。
濃度が強すぎると葉にスプレーを吹いた時に薬焼けをする恐れがあります。
濃度は上記範囲で行いましょう。



畑で使用するなら少量のハンディタイプよりも大容量の噴霧器の方が向きです。




活用方法は、野菜に限らず、観葉植物などの葉面にふきかけてあげます。
微量要素である、カルシウムやアミノ酸を供給します。
トマトの尻腐れ病にも有効です。
作成した原液はお酢と間違いのないように分別していきましょう。



かき殻でも同じような効果が期待できます。
簡単ですので是非トライしてみてください。
土壌改良効果
かき殻もタマゴの殻やコーヒーかすと同様に土壌改良効果が期待できます。
軽石を投入すると同じように多孔質(細かい穴の開いた構造になっている)。
小さい穴が親水性、通気性、保肥力を高め土壌の中の微生物の活動を促進し、連作障害の防止にも一役買います。



以上がかき殻の特徴です。
次項では本題のpH調整について解説します。
生ゴミを使ったpH調整





自由研究のようなノリですが…。
散布面積はかなり小さめですが、効果があるかを確認したかった為、極小面積で行います。
有機物を散布し、1週間後、土壌酸度系を使用しpHを測定します。
かき殻


散布前 pH6.2


かき殻を散布


散布後 pH6.7
かき殻のサイズはまちまちです。
粉状から大きいもので小指の第一関節部分の大きさ。
ですが、1週間程度で
pH+0.5、アルカリ性に傾けました。
㎡散布ならば、100gが妥当です。
効果は絶大、上がり過ぎないように慎重にまいていきましょう。
タマゴの殻


散布前 pH6.0


タマゴの殻を散布


散布後 pH6.2
タマゴの殻のサイズはほぼ均等です。
1週間程度で
pH+0.2程アルカリ性に傾けました。
㎡散布ならば、200gが妥当です。
効果はナチュラルです。
石灰として使用するには少し威力が少ないような気もしますね。



石灰として使用する場合は相当気合を入れてタマゴを食べないとですね笑
石灰よりもぼかしやコンポストの方が向きですね。
コーヒーかす


散布前 pH6.7


コーヒーかすを散布


散布後 pH6.6
コーヒーかすは2週間以上、天日干ししたものを使用します。
1週間程度で
pH0.1程、酸性に傾けました。
㎡散布ならば、200~300gでpHを+0.1程度変化。
撒き過ぎは注意というのは本当ですね。



コーヒーかすは思ったより酸性に傾けてしまいますね。
ヨトウムシの対策でコーヒーかすを撒き過ぎるのも考え物かもしれぬ。
pH調整まとめ


土壌改良効果は上記の通りです。
pH調整を行うなら、かき殻が効果絶大、石灰として使用するのがベストです。



かき殻をたまたま頂いたので今回のように砕きましたが…。
これっ、結構しんどい。
かき殻石灰は粉状の方が効果が早く、畝内の変化率が一定になります。
粉状にするには、殻を細かくしたあと、ミキサーにかけるか、購入するの2択です。



経験上、購入する方がおすすめです。
タマゴの殻は、石灰としてよりは、サポートとしてぼかし肥料やコンポストで肥料化、液肥として使用していくのが理想。
ぼかし肥料にする場合は、分解、発酵に時間がかかりますので、3ヶ月以上寝かし期間を設けたいところです。
コーヒーかすもぼかし肥料がメインで扱いたいですね。
酸性を好むブルーベリーなどの土壌改良にも活躍できそうですね。
生ゴミを使用した畑のpH調整 まとめ
今回は生ゴミを使用したpH調整について自由研究的に確認していきました。
調べた結果、
有機物 | おすすめの用途 |
かき殻 | 有機石灰、酢酸カルシウム液肥 |
タマゴの殻 | ぼかし、コンポスト肥料、酢酸カルシウム液肥 |
コーヒーかす | ぼかし肥料、コンポスト肥料 |
がおすすめですね。
ぼかし肥料の作り方はこちら…


コンポスト肥料の作り方は…


生ゴミ再生に興味があるようでしたら是非参考にしてください。
今回は以上です。
最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。


コメント