土の酸性度(pH)を調べる

pHを調べる

野菜をつくってみたけど、実がつかなかったことがあります。

野菜づくりは愛情が大事と言うけど、愛情だけでは足りないですよ。
今回の話しで理由がわかりますよ。

『何か野菜できなかったね。』

という経験ありませんか?

野菜が収穫がうまくできない原因が表題の酸性度(pH)の数値を気にしていなかったことがあげられます。

pHと言われてもピンとこないかもしれません。

野菜を育てる上では、とても重要なことです。

今回は酸性度(pH)の調べ方と調整方法について解説します。

これから家庭菜園を始める方、育てたい野菜のpHを知りたい方向けの内容です。

この記事でわかること!

・育てたい野菜の酸性度(pH)

・酸性度の調査方法

・酸性度の調整方法と使う道具

目次

そもそも酸性度(pH)とは

酸性度って理科みたいですね。
理科で習ってから時間が経ちすぎてピンとこないんですが…。

そうですよね。野菜を育てなければもしかしたら一生聞くことがなかったかもしれませんね。
簡単に酸性度(pH)について説明していきます。

pH説明

酸性度とは酸の強さのことでpH(水素イオン指数)で表します。

14段階の数字でpH0(酸性)~pH7(中性)~pH14(アルカリ性)で表示されます。

野菜の好むpHの範囲はpH5.5~pH7となります。

植物は微酸性から中性を好みます

酸性に傾きすぎると、成長に必要な栄養(リン酸)を吸収できなくなったり、根が傷みます

アルカリ性に傾きすぎると、マグネシウムやミネラル吸収ができなくなり、成長障害や病気になってしまいます。

なぜ、このpHは変動するのでしょうか?

pHが変わる理由

野菜を育てていけば土は酸性に傾いていきます。アルカリ性になっていくことはありません。

  • 雨自体が酸性
  • 雨水で土中のアルカリ性ミネラルが地下に流れてしまう
  • 野菜を育てる上で投入する化学性肥料は酸性気質

といった理由が挙げられます。

何もしなければ適正pHで野菜を育てることは難しいです。

野菜もその野菜ごとに適正pHは異なります。

それぞれの適正pHをみてみましょう。

簡単にいうと、野菜を育てるタイミングで野菜にあったpHにしていかなければ、肥料をあげてもうまくいかないよ。
ってことですね。

育てる野菜によりpHは異なる

育てたい植物にあったpH値についてみていきましょう。

スクロールできます
pH野菜果樹花木
6.5~7.0
微酸性~中性
エンドウ
ほうれん草
ブドウガーベラ
スイートピー
6.0~6.5
微酸性
アスパラガス
落花生・枝豆
カリフラワー
カボチャ・胡瓜
スイカ・トマト
ピーマン・ナス
レタス・白菜
インゲン・ネギ
桃・キウイカーネーション
バラ・菊・ユリ
パンジー・アカシア
5.5~6.5
弱酸性~微酸性
(広域)
いちご・小松菜
キャベツ・大根
玉ねぎ・人参
みかん・ウメ
リンゴ・ナシ

マリーゴールド
コスモス・千日紅
5.5~6.0
弱酸性
ソバ・サトイモ
ショウガ・ニンニク
ジャガイモ
クリ・ブルーベリーセントポーリア
プリムラ
5.0~5.5
酸性
ツバキ・シャクナゲ
サザンカ・アザレア
適正pH値

上記のように野菜については酸性土壌のpH5.0~5.5と中性土壌以上の環境下での栽培は適していません。

このpHの範囲で野菜を育ていきます。

数値だけ見てもピンときません。
放置している状態でどのくらいのpHなの?

敷地内の花壇でもないところや道端の舗装されていないところで
pH5.0~6.0程度で酸性から弱酸性くらいです。
処置をしなければ、畑も同じ数値になっていきます。

pHを調査し整える方法

pHを確認する方法を見ていきましょう。
再度、土づくりの流れの確認です。

植付の2週間前を目安に、pHを確認し調整する方法について説明していきます。

測定する方法

測定する方法は3種類あります。

  • pH試験液を使う
  • リトマス試験紙を使う
  • 土壌酸度計を使う

①pH試験液を使う

調べたい場所の表面から5~10㎝程度の土を採取し、土1:水2の割合で入れてよく混ぜます。

約30秒後に上澄み液を試験管のようなコップなどにいれて試薬を注ぎ、カラーチャートの色と比較し濃度を確認する方法です。

②リトマス試験紙を使う

上記の方法で土を採取し土と水を同じ分量でよくかき混ぜ落ち着くまで待つ。

色の変化で酸性度を確認する方法です。

ゆっくり赤くなる → 弱酸性

すぐに赤くなる  → 酸性

変わらない    → 中性

上記2点の方法は手間がかかり大変です。
おすすめは③『土壌酸度計』の使用です。

③土壌酸度計をつかう

土壌酸度計写真

土壌酸度計で計測する方法がおすすめです。

写真ように土に差し込みます。

差し込んでからしばらくは針が振れて安定しません。

1分ほどで安定していきますので、その時の数値(pH)を確認します。

上記の①②より数値の確実性が高く、手間いらずで時間をかけたくない方におすすめです。

こちらはホームセンターやネットショッピングでも購入できます。

ちなみに上記はこちらの商品となります。

土にさして数値を読むだけなので前準備が不要です。
確実性と手間を踏まえてもおすすめの方法です。

pHの値を高くする道具と方法

土壌が酸性になっているということはカルシウムとマグネシウムが不足している状態です。

カルシウムは植物を丈夫にし根の発達を促します。

マグネシウムにはリン酸の吸収を助ける効果があります。

そのまま酸性で栽培すると、土の中のアルミニウムが溶けだしやすい状態の為、発達障害を引き起こしてしまいます。

植物が健康に育つように、酸度調整をしていきます。

1.使う道具

スクロールできます
資材特徴肥効散布量(g/㎡あたり)
消石灰アルカリ成分が強い。
植付まで2週間はあける。
それ以外の堆肥などとの同時使用不可
100g
苦土石灰カルシウムとマグネシウム補給を同時にできる。緩やかに効いてくるため、すぐに植付できる。
理想は植付2週間前
150g
有機石灰原料が鉱物ではなく有機の貝殻などで作られています。鉱物性のものにくらべアルカリ性にする力は弱く、すぐに植付可。
理想は植付2週間前
150g
散布量の目安:深さ10㎝あたり

消石灰は急ぎアルカリ性に変更させたいとき。

苦土石灰有機石灰は通常、ゆっくり畑をつくる余裕があるときに使用していきます。

消石灰については扱いが難しい為、家庭菜園には向かず、農家さんなど慣れた人向けの石灰となります。

2.石灰の撒き方

①石灰を用意します

石灰を用意していきます。

今回使用するのは有機石灰を使用。

バケツに移して畑に手でまいていきます。

1度に掴めるグラム数について把握しておくと振り分ける時、楽になります。

男性の場合はひとつかみ、40~50g程度です。

1㎡あたり:3つかみ程度

②畑全体に散布します

石灰を植付する畑に散布していきます。

面積、石灰の使用料も計測して行えば使用ロスが減らせます。

散布は晴れた日が続いてるときに行うようにしてください。

畑が湿っていない状態でこの後、畑を耕していきます。

③すき込み

表面そのままの状態だと風で石灰が舞ってしまいます。

また水分があれば固まってしまいますので土にすき込みしていきます。

すき込んだ後何日か時間が経ったあと、土壌酸度計を使用し適正のpHなのか確認。

数値が届かない場合、また、石灰を撒いていきます。

表層10㎝をすき込み目安としてください。

苦土石灰については袋に散布量の目安もありますが、
目安より少なめに散布しましょう。

散布自体は手作業です。自分が思うよりpH数値は簡単に上がります。撒き過ぎに注意して、足りないようなら追加をするようにしていきましょう。

pHの値を下げる道具と方法

土壌がアルカリ性に傾いている状態は土の中で栄養が溶けづらい状態になってしまいます。

リン酸が不溶化しヨウ素欠乏症を起こしてしまいます。

時間をおけば雨で土壌が酸性に傾いていきますが、すぐ戻す方法について考えていきます。

1.使う道具

スクロールできます
資材特徴散布量
ピートモス無調整を使用していく
(pHは産地により異なる)
土の割合に対し3割程度投入
するとpHが0.2から1.0程
酸性側に傾く
硫安即効性のある窒素肥料で安価の為、広範囲の土壌改善に使用される
持続性は低い
50g~100g/㎡
酸性土壌の改良する用土

ピートモスを土壌にすき込む

我が家では、ブルーベリー畑の土壌酸度調整で、ピートモスを使用しています。

ピートモス

使用する量について

土の容量の3割ほどのピートモス(無調整品pH4.0)を投下すればpH0.2~1.0酸性に傾く為、土に混ぜ込みます。

酸性に傾けるにあたり

あくまで目安ですが… 30ℓ(1㎡×深さ10㎝)

が必要となります。

ピートモスを水につける

注意点

畑に直接投下すると水分を吸収できません。

一晩以上、水につけたものを畑に投下していきます。

また、ピートモスのみで酸度調整した場合、土壌の物理性が変化してしまう可能性がありますので、化学肥料の硫安と併せて使用する方が経済的です。

化学肥料の硫安は、酸性に傾いた畑での使用は控える「酸性肥料」となります。

そのデメリットを活かして酸性土壌に振り向けるように使用してきますが、単体で使うと、チッソ過剰になる恐れもあります。

ピートモスと併せて使用し、チッソ過剰を防止していきます。

酸性肥料については、塩安塩化カリ硫化カリなどがありますが硫安が一番おすすめです。

注意点として、硫安苦土石灰との相性が悪く、時間をおかず散布してしまうと、投入目的となるチッ素を含むアンモニアが空気中に逃げてしまいます。

1週間ほど空けてから散布します。

  • pHをあげる作業は容易ですが、pHを下げる作業は相当難しく、費用的にも割高です。石灰投入時に撒き過ぎないようにしていくのがベスト。

ここまでして酸度調整する人はまずいないと思います。
時間が解決してくれますから…。
それよりも石灰の撒き過ぎに気をつけましょう。

雑草から判断するpH値

今は機材があるため数値を確認するのは簡単ですが、昔の人は生えている雑草で野菜の適正pHを計っていたのだと思われます。

余談ですが代表的な雑草を紹介します。

雑草の種類で大方のpHは理解することはできます。

私の祖母はこれよくわかってました。
今、思えばすごい特技だと思います。

スクロールできます
pH値代表的な雑草その他の雑草
強酸性(4.5~5.0)すぎな
スギナ
スズメノテッポウ
白クローバー
オオバコ
ジシバリ 
弱酸性(5.5~6.5)オオバコ
オオバコ
カタバミ
アカザ
ギシギシ
イヌガラシ
微酸性(6.5~7.0)スズメノカタビラ
スズメノカタビラ
レンゲソウ
ナズナ
ヘラオオバコ
コニシキソウ
中性(6.5以上)ホトケノザ
ホトケノザ
ハコベ
イヌフグリ
ノゲシ
オトギリソウ
どこでも生えるヨモギ
ヨモギ
クズ
ハハコグサ
メヒシバ
ススキ
雑草 pH

雑草の中では似たような草の形で違う品種等もあります。

上記で紹介させて頂いた土壌酸度計を使用して測定する方が計測判断がしやすく、確実性が高い方法です。

まとめ

土の酸性度pHの調べ方と調整方法について説明しました。

簡単に今回の内容をまとめてみました。

まとめ
  • pH調査は、土壌酸度計を使い、野菜の適正pHと比較する
  • pHをアルカリ性に傾ける場合は、苦土石灰もしくは有機石灰を植付2週間前に使用して畑にすき込む
  • 撒き過ぎてしまいアルカリ性を、酸性に戻したい場合、ピートモスと単肥の硫安で調整

アルカリ性を酸性に戻すのは大変ですので、石灰の撒き過ぎには十分注意していきましょう。

野菜作りをしていくと、割と雨が多いように思えてきます。

上手く時間を見つけて、作業をすすめていきましょう。

今回は以上となります。

最後までお付き合いありがとうございました。

この調整が終わり次第、元肥を施します。

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