キュウリの病害虫とコンパニオン・プランツについて説明します。
キュウリの病害虫とほかの野菜の相性について説明していきます。
- キュウリの病害虫について
- コンパニオン・プランツについて
キュウリのコンパニオンプランツ
コンパニオンプランツは近くに植えることで育ちが良くなる野菜の組み合わせのことです。
無農薬でも害虫を遠ざけ、病気になりづらく、健全な野菜を育てつようになります。
キュウリについてまとめました。
相性の良い組み合わせ(混植)
科目・種類 | 野菜・植物 | 理由 |
マメ科 | インゲン | 生育が良くなる。つるありがおすすめ、風に弱いキュウリの暴風壁に |
根菜類 | ラディッシュ | 生長速度の差があり、妨害なく育つ |
ヒガンバナ科 | ネギ | 害虫忌避効果、根が絡み合う場所に植えると良い |
他にも相性の良い野菜は、ニラ、パクチー、チャイブなどがあります。
後作も踏まえても相性のよい野菜が多いです。
相性の悪い組み合わせ
科目・種類 | 野菜・植物 | 理由 |
ウリ科 | カボチャ、スイカ、ゴーヤなど | 連作障害 |
ナス科 | ピーマン、トマト | キュウリの味を悪くする |
根菜類 | ニンジン・ダイコン | センチュウの増加 |
ウリ科は、連作障害が起こる為、注意。
キュウリ栽培中、栽培後は、ニンジン、ダイコンはセンチュウを増やす原因となりますので、混植はやめておきましょう。
後作は『ホウレンソウ』、『エンドウ』がおすすめ♪
キュウリの収穫末期は9月頃になります。
秋野菜シーズンとなり、ほうれん草は種植えできる野菜の為、おすすめ。
また、エンドウとリレー栽培することで、連作緩和できるとされる。
キュウリの病気
発生する病気から見ていきましょう。
炭そ病
炭そ病はあらゆる部位で発症します。
一般には葉に円形の褐色の病斑ができ、中央部が退色し穴が開きます。
植物ごとに症状は変わりますが、果実にも及びます。
気温の高い梅雨時や台風時期に蔓延します。
早期発見が大事になります。
取り除けば、栽培続行が可です。
・発病した部分や残渣は、畑外で処分
炭そ病の対策
②水はけをよくする
高畝や排水路を設けるなどして水はけをよくする。
③泥はねに注意
水やりによる泥はねを注意したり、マルチをすることで株や葉に泥がかぶらないようにしていく。
④風通しを良くする
密植を避ける。
剪定や間引きをして風通しが良い環境を用意する。
時期的には暖かくなり湿度が高くなると発生していきます。
うどんこ病
うどんこ病は日当たりが悪く、雨の当たりずらい下葉の部分で発生するカビの一種です。
葉などが小麦粉をまぶしたように白くなり、生育が悪くなったり、葉や茎が変形します。
放置すると、葉から茎、花へと転移していきます。
食用部分に発生していなければ、食べても問題はありません。
斑点細菌病
発病初期は、水の染みたような病斑ができ、その後、写真のような、淡い黄色から褐色の小斑点になり葉脈に沿って広がります。
梅雨時期や秋の台風時期に多発します。
病変が出たら、葉を早めに落とし育てれば、乾燥してくれば発生が収まっていきます。
・発病した株は直ちに抜き取り、畑の外に持ち出し処分
・葉などの残渣も畑の外で処分する
斑点細菌病の対策
①水はけをよくする
高畝や排水路を設けるなどして水はけをよくする。
②泥はねに注意
水やりによる泥はねを注意したり、マルチをすることで株や葉に泥がかぶらないようにしていく。
③風通しを良くする
密植を避ける。
剪定や間引きをして風通しが良い環境を用意する。
つる枯病
キュウリに限らず、ウリ科の植物に発生します。
茎、葉ともに症状がでます。
茎は、地際部分で、淡い黄色の病斑ができ、やわらかくなります。
葉では、菌が葉の縁から侵入して、V字型に病斑ができて枯れていきます。
わかりづらいですが病斑には黒い粒ができるのが特徴です。
病変のある葉を除けば栽培は可能。
・発病した株は直ちに抜き取り、畑の外に持ち出し処分
・葉などの残渣も畑の外で処分する
つる枯病の対策
②水はけをよくする
高畝や排水路を設けるなどして水はけをよくする。
③泥はねに注意
水やりによる泥はねを注意したり、マルチをすることで株や葉に泥がかぶらないようにしていく。
④風通しを良くする
密植を避ける。
剪定や間引きをして風通しが良い環境を用意する。
べと病
春から秋の湿度の高い時期に多発します。
キュウリは、行灯をして、日中と夜間の寒暖差の対策をしますが、高温になれば風通しが悪くなり、湿度が高くなる為、起きやすくなります。
葉などに淡褐色の斑点ができて、進行すると紫色のカビが密生して枯れていきます。
幼苗期に発生すると、生育が阻害されます。
葉だけでなく、実にも発症し、発症した実は食べることはできなくなります。
・発病した株は直ちに抜き取り、収穫後の残渣も含め畑外で処分
・農薬散布(登録に合わせシアゾファミド水和剤などを散布)
べと病の対策
②水はけをよくする
高畝や排水路を設けるなどして水はけをよくする。
③適正な施肥
チッソ過剰により茎や葉が軟弱になることも原因の一部となります。
適正な施肥を行いチッソ過多にならないようにする。
④泥はねに注意
水やりによる泥はねを注意したり、敷き藁やマルチをすることで株や葉に泥がかぶらないようにしていく。
⑤風通しを良くする
密植を避ける。
剪定や間引きをして風通しが良い環境を用意する。
つる割れ病
ウリ科の植物で多く発生します、根から侵入した菌糸が根や茎の導管を詰まらせる病気です。
気温が高くなる時期に、日中には萎れて、夕方には回復することを繰り返し、そのうちに下葉から黄色になり、全体の葉が萎れ、株そのものが枯れてしまいます。
放置すると他の株にも伝染するため、直ちに抜いていきます。
・発病した株は直ちに抜き取り、畑の外に持ち出し処分
・葉などの残渣も畑の外で処分する
・8月の暑い時期に太陽光消毒をする
つる割れ病の対策
②接ぎ木苗を使用
カボチャなどを台木とした接ぎ木苗を選ぶ。
③土づくりの工夫
キチン質を含むカニ殻を混ぜる。
④太陽熱消毒
夏の強光を利用して、病原菌を死滅させる方法です。
キュウリの害虫
代表的な害虫を紹介します。
ウリハムシ
ウリハムシ=ウリバエ です。
4~5月は、冬を耐え抜いた成虫、7~8月は新しい成虫が発生します。
成虫は葉、花、果実を食害し、葉を食べるときは、円を描くように傷をつけて穴をあけます。
成虫は、株元に卵を植え付けて、幼虫は茎や根を食害し、つる割れ病のように、日中に萎れ、夕方に回復を繰り返し、そのうちに、株が枯れてしまいます。
・成虫は朝方などの気温が低い時間、動きが鈍いので、見つけ次第駆除
ウリハムシの対策
①アルミ蒸着マルチや白マルチを張る
畝に白マルチやアルミ蒸着シートをすることで虫よけになります。
アブラムシやハモグリバエ、ウリハムシ類は腹に光が当たるのを嫌います。
畝の上や畑の周囲をマルチで覆うと、そこから先へ侵入できず、落ちて死んでしまいます。
②ラディッシュの混植
ウリ科の植物と一緒に、ラディッシュを混植していきます。
この時、ウリ科の植物を基準に、囲むように植えておくと、ウリハムシ対策となります。
③リビングマルチ
ウリ科の植物の株元に、チャイブやナスタチウムを育てて、リビングマルチにする。
リビングマルチとは、畝や畝間に背の低い植物を植えて、天敵を集めて、ウリハムシ対策をしていきます。
それ以外にも、雨による土の流出や、温度上昇を抑制することができます。
ワタアブラムシ
キュウリに寄り付くアブラムシについては、
「ワタアブラムシ」という緑色の虫が葉やさやを食害します。
気温の暖かくなる5月から8月頃に発生していきます。
ハダニ
成虫でも1㎜以下のダニで、幼虫、成虫ともに葉裏から汁を吸い、葉の表に白い斑点ができていきます。
多発するとクモの巣状の網をかけていきます。
卵から成虫までの期間が10日足らずと、回転が速く油断していると、野菜の生長が衰えます。
被害にあってもハダニを洗い落とせば、問題なく食べられます。
・消毒散布
適用によるが脂肪酸グリセリド乳剤(アーリーセーフなど)などを、午前中の気温の高くない時間帯に茎、葉裏に散布する。)
ハダニの対策
①有機マルチを使用
ポリマルチを使用している場合、5月末、気温が高くなる時期から、ハダニが発生していきます。
藁マルチに変えることで、ハダニの天敵を呼び寄せることができ、薬剤を使用しなくても、発生を抑制することが可能となります。
初めから敷き藁する場合は、土が見えないように敷くことで、泥除け、地温上昇、乾燥対策になります。
②リビングマルチ
白クローバーのリビングマルチも対策のひとつです。
栽培予定地に白クローバーを予め植えておき、春になったら、通路や畝のクローバーをそのまま残し、定植予定の場所だけ耕します。
白クローバーが天敵の住み家となり、ハダニをよせつけません。
ウリノメイガ
ワタヘリクロノメイガとも呼ばれるガの幼虫で、薬剤の適用名がウリノメイガ。
葉や果樹を食害します。
成虫が根本の下草に産卵し、孵化した幼虫は葉の裏側から食害し、葉の表側からみると白く透けてみえるようになります。
その後、食害を続け、新芽や若い果実を食害していきます。
・葉裏にいる幼虫は、割りばしなどで摘み取るか、葉ごと切り取って駆除
・BT水和剤(チューンアップ顆粒水和剤など)を葉裏散布
ウリノメイガの対策
①成虫のガを見つけ次第捕獲
成虫のガが、卵を植え付ける為、ガを見つけたらなるべく捕獲する。
ハモリグリバエ
成虫が飛来して葉肉内に産卵し、かえった幼虫が葉肉内をトンネル状に食害し、食害を受けた部分は光合成ができなくなります。
外来種が多く、幼虫は、葉肉内を出てさなぎになります。
化学肥料や農薬の多発は注意です。
・幼虫、さなぎは白い筋の先端に潜んでいる為、葉ごと押しつぶす
・被害があった葉を切り取って処分する
・成虫は粘着シートを設置し誘殺する
ハモグリバエの対策
①ポリマルチから敷き藁マルチに変更
ポリマルチを使用している場合、5月末、気温が高くなる時期から、発生していきます。
ポリマルチから敷き藁を変更します。
敷き藁にすることで、地表面の乾燥を防ぐことで、対策となります。
②肥料のやりすぎに注意する
化学性肥料や農薬を多用することで多発する傾向があります。
化学肥料の使いすぎに注意する。
ウリキンウワバ
ガの仲間で、雑食主義で、ウリ科、アブラナ科、雑草など多くの葉を食害します。
若齢幼虫は葉の裏側から食害し、小さな白い穴がたくさんできます。
成熟期には葉脈の付け根をかじって葉を萎れさせ、その中に潜んでさなぎになっていきます。
昨今のような、気温の高い年には、多く発生する傾向があります。
・幼虫を発見したら割りばしなどで、つまみ取って、駆除する
ウリキンウワバの対策
①混植
ウリキンウワバに対抗するために、混植もおすすめ。
マリーゴールドやナスタチウムを混植。
②リビングマルチ
白クローバーのリビングマルチも対策のひとつです。
栽培予定地に白クローバーを予め植えておき、春になったら、通路や畝のクローバーをそのまま残し、定植予定の場所だけ耕します。
天敵のクモやゴミムシが白クローバーを好む為、予防効果があります。
キュウリの病害虫を紹介しました。
ほかの野菜とも重複する病気、虫が寄ってきます。
キュウリの病害虫 対策・まとめ
病害虫の全体的な対策まとめです。
- ウリ科の連作をしない
- うどんこ病などに強い品種を選ぶ
- 敷き藁やポリマルチで畝を覆う
- 葉の込み合いを防ぎ、風通しをよくする(下葉かきをする)
- 水はけをよくする
- エンドウとのリレー栽培がおすすめ
キュウリの病害虫について紹介しました。
連作にならないようにしていくための作付け計画を立てていきましょう。
今回は以上になります。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
キュウリの栽培方法についてはこちら。
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