
今回は「菌ちゃん農法」の核、畝づくりについて解説します。
『糸状菌の活躍する畝づくりをする。』
集めた有機物を数ヶ月、野ざらしにして準備が整いました。
新たに、畝を作っていきます。
この記事は、菌ちゃん農法を始めてみたい方向けの内容です。
これから農法を、試してみる筆者が紹介します。
- 畝の作り方
- 調達した有機物の利用の仕方
畝の基本と準備



これから作る畝と一般的な畝を比較してみます。


一般的な畝は、上図左の平畝ですね。
菌ちゃん農法で使用する畝が上図右となります。
菌ちゃん畝をより詳しくみると、下図のようになります。


平畝と比べると、高さや幅、通路幅も広くしていきます。
おおよそ、平畝2列分で、菌ちゃん農法に使用する畝1列分となります。
- 畝が大きくなるため、土が多く必要
- 水はけが大事になる為、排水経路をしっかり確保する
畝を作る際、現状の畑の畝部分や通路部分をよく耕しておくことが大事です。
通路であったところが、畝になり、畝であった部分が、通路となる可能性があります。
掘り過ぎたり、浅かったりして、通路部分に水が溜まると、好気性の糸状菌が呼吸ができず、死んでしまう恐れがあります。
畝づくりに必要な道具
畝を作るにあたり、あったら便利、必ず必要なものを紹介します。


耕運機
畝の規模が大きくなり、鍬で耕し、スコップで畝を作っていくのも一苦労。
そこで、活躍するのが耕運機。
耕運機で深く耕すことで、人力作業を減らし、耕す深さのムラを解消していきます。


トンボやレーキ
床面に有機物を敷く際に、偏りのないように広げる時や、床面を平にする時に、トンボやレーキがあると便利です。
なければ、板の切れ端などでも構いません。


黒マルチ
畝立て後、黒マルチで覆い、雨水が入らないようにして完成となります。
畝の規格が大きくなるため、黒マルチも大きめのもの、180㎝のものを、必ず用意しましょう。
菌ちゃん畝づくり 基本手順



畑の畝を作りかえていきます。
菌ちゃん畝づくり 手順と要点






スコップや鍬を使用して、40㎝幅の通路(溝)を掘っていきます。
掘り上げるときに、溝の底が凹凸になると、水溜りができず、排水が潤滑にできるようにしていきます。
溝が、ほぼ同じ深さになるように注意しましょう。



ここが、一番体力をがいります。
しっかり耕して、畝上げの負担をなるべく減らしましょう。


野ざらし有機物


糸状菌の確認


床面にのせる
菌ちゃん農法の有機物の使用は、土の中に鋤きこんで使用するのではなく、土にのせるのが特徴です。
土の中に入れてしまうより、畝の上に置いた方が、空気に触れやすく、糸状菌が増えやすくなります。
畝の上に有機物をのせ、均等に敷き詰めていきます。
高さムラがないようにしていきます。
有機物は、糸状菌がついているものを使用し、
もみ殻は、床面に厚さ8㎝程度で、人差し指がすっぽり入る程度が目安です。
タケは、砕いて、4分の1から半分程度で、長さは1から10㎝位の大きさが推奨されています。
菌糸がたくさん伸びるように、表面積を増やすためにも、短い方が理想です。
有機物と使用量はこちらを参考に…



私は写真のように、落ち葉を使用しました。
杉葉や小枝も混じっているものです。


糸状菌を増やして土づくりをする為には、有機物の表面で増えた糸状菌が菌糸を伸ばしやすくなるように、少量の、土を被せて、有機物と馴染ませます。
あまり、土を被せ過ぎると、空気が不足し、糸状菌が育ちづらくなりますが、隙間があり過ぎると、菌糸を伸ばしづらい。
土は通路(溝)から、すくい取り被せ、手で有機物と馴染ませて、床面や台形に整えます。
土を被せる時、有機物によって注意が必要です。
例えば、刈り草は土を被せた時、嵩張りやすい。
嵩張りがないように、上から押さえたり、土と草の間にまぶすようにして、隙間も作るようにすると糸状菌が育ちやすくなります。
被せる土の厚み … 2~3㎝程度
ここで、作業を中止し、雨にさらして、適度な水分を与えます。



畝を水に濡らすだけでなく、通路の排水の状態を確認したいため、雨天後、手直しを含めて次の工程に移る方が、おすすめです。




排水の確認 →の方向に勾配をつけてます。
雨天後、畝を整え、通路(溝)に水が溜まってしまうようなら、通路(溝)の高低を調整します。


畝を雨に濡らして、通路(溝)に、水が溜まっていないことが確認できたら、マルチを被せていきます。
マルチをする目的
- 雨避け(畝の内部が水浸しを防ぐ)
- 畝の内部の土が乾燥を防ぐ
マルチをすることで、糸状菌が働きやすい環境を整えることが目的です。
暖地…白黒マルチ◎ 一般地…黒マルチ◎
黒マルチの張り方


雨にさらした時、大雨の場合、土の表層が空気が通りにくくなっています。
土を、レーキで軽くたたくようにして、空気が通る土にしてからマルチを張ります。
マルチは土に埋めないようにしていきます。
これは、マルチ内に空気が入るようにするためです。
固定は、マルチ留めを、50~60㎝間隔にしていきます。


マルチ留め 止め方


マルチ留めとの間から風が入ることが確認できる
また、床面部分の肩部分(床面の端部分)に、マルチ穴あけカッターで穴を空けるとより空気が入りやすく、安心ですが、除草の手間が増えるため、畑に行く頻度で判断しましょう。
空けた穴は、野菜を植えるときに使用していきます。




マルチを張り終わったら、床面に土の塊をのせていきます。
土塊をのせることで、その下の土の粒子が圧縮されて、毛細管現象で地中深くから水分が上がっていきます。
この作用で、畝の上部まで適度な湿り気が保てるようになります。
土の塊を置くことでマルチの上は、雨水が溜まりにくくなります。
この土塊をのせる作業が大切なプロセスになります。
土塊は、土塊どおしの間隔で20㎝、中央を外してわきのところ2列に、スコップ大盛り1杯分を置いていきます。
通路(溝)の踏み固められた部分の土を、点々と深く掘ってのせていきます。


写真のように、バラバラの土の状態だと、風と雨で流されてしまいます。
土の塊のまま、マルチにのせます。
完成後、雨で土が流れてしまったら、改めて土塊をのせ直します。
以上で、畝づくりは完成です。


土塊をのせ完成


土塊の代わりに重しをのせるもあり‼



以上で、畝づくりは完成です。
菌ちゃん先生曰く、「菌ちゃん、いつもありがとう」
と声をかけてあげると、頑張って働いてくれるようです。
畝完成後のケア
- 雨天後、土塊が流れてしまったら、のせなおす
- 有機物のかさが、減ったらマルチを張りなおす
- 土塊の下の確認
●雨天後、土塊が流れてしまったら、のせなおす
雨が降って、マルチ上の土塊が流れてしまったり、塊が崩れているようなら、マルチ上の土塊を払い、改めて土塊をのせ直しましょう。
放置すると、乾燥状態になったりと悪影響を起こすことになります。
●有機物のかさが、減ったらマルチを張りなおす
早いもので、1ヶ月程度で有機物の容積が減り、マルチにしわが寄るなど緩くなることがあります。
気づいたら、留め具をはずして、張り直します。
●土塊の下の確認
マルチを張り直しすると同時に、土塊の下の状態を確認します。
土塊の下が乾いていたら、じょうろで水をかけ、土塊をもっと重くします。
反対に土塊をしていない部分が濡れすぎている場合は、畝が低すぎる可能性がある為、土塊(重し)の間隔を広げて、通路(溝)を深くする対策が必要です。
菌ちゃん畝を作ってみて…



菌ちゃん畝を始めて作った時、うっかりやってしまったことや苦労したことをまとめてみました。
うっかり① 有機物を放置しすぎて、投入前に無くなりそうになる


調達当日
トラック2杯分を調達


調達1ヶ月後
乾燥がすすみ、良い感じに…


調達3~4ヶ月後
ほぼ、無くなる…



刈り草は、落ち葉に比べて、消耗が早いようです。
軽トラック2杯分を集め、野ざらし、3~4ヶ月程度でほぼ無くなりました…。
有機物収集から畝づくりまで、計画的に行うようにしていきたいと思いました( ゚Д゚)
うっかり② 有機物に土をのせ、雨にあてずにそのままマルチをしてしまう


じょうろで水をあげたり程度もやめましょう。
畝立てからが成功の為にも重要になります。



うっかり忘れたことを気づき、そのあと、マルチをめくって、もう一度雨にあてました…。
所感ですが、寒い時期は、雨が少なく、畝づくりが停滞します。
春先と秋の雨が適度に降る時期が適期。
そこを狙って、畝づくりをしていこうと思いました。
うっかり③ マルチ留めをしたが、土を被せてしまい、空気が入りづらくしてしまう


家庭菜園の従来のやり方に慣れた方は、特に注意してください。
マルチを土を重しにして張ったり、土に被せた方が見栄えが良いとお考えの方はやり兼ねない失敗です。
糸状菌は適度に空気が必要です。
更にマルチの上に、土塊をのせることで、空気の流れがまるで無くなってしまいます。



オーソドックスなポリマルチの張り方と同じように行ってしまいました…。
もちろん、空気は入らない、ダメ状態です。
マルチ留めで止めるだけでOK。
もちろん、やり直しました…(*_*;
うっかり④ マルチの上に土の塊をのせず、バラバラの土をのせてしまう


先にも触れましたが、マルチの上に土塊を置いたつもりがバラバラになってしい、中央部分にも土がのってしまう。
1列づつ土塊を、ずらして置いていないため、中央にも土がのってしまい、毛細管現象を起こせるか、懐疑的。
通路部分からまんべんなく、土をすくうと、塊になりづらい為、点々と深く掘り下げると塊を置くことができます。



水はけが気になり、通路の勾配を変えたくなかった為、まんべんなく土をすくいました。
結果、塊をマルチ上に設置できない、また、雨天後、行っていないため余計に土がサラサラでした…( ゚Д゚)
うっかり⑤ 1人作業で、マルチが重すぎて一苦労する


黒マルチも135㎝タイプは需要が多く、長さが短いものもありますが、180㎝タイプは、100M以上の長さのものしか、ホームセンターやネットショッピングでも販売されていません。
135㎝タイプでは、私の場合、写真のように、支柱を紙管に入れて、支柱の両端を持って、畝を跨ぎ、引っ張りながら張っていきます。
180㎝タイプは厚みや長さにもよりますが、10㎏以上あり、畝も高く、マルチを持って引っ張ることが、難しく、苦労しました。



マルチ張りは、2人で作業が好ましい。
マルチが重すぎて、床面を転がしました( ゚Д゚)
長さが短いものは下記参考にしてください。
マルチを購入前に…
180㎝のマルチは、ホームセンターやショッピングサイトでは、100M単位での販売が主です。
必ず、購入の際は、重さを確認してみてください。
重すぎるようなら、本家本元の菌ちゃんファームの公式サイトで10M単位での販売がされてます。
参考にしてみてください。
菌ちゃん農法 畝づくり まとめ
今回は、基本の畝の作り方について解説しました。
畝を作ることに一生懸命になりがちですが…
- 糸状菌の菌糸がしっかり伸びるように土を被せすぎず、なじませる
- 畝をしっかり雨にあてる
- マルチ内の風通し
- 土塊をしっかりのせる
の4点が大事なのだと、畝づくりの失敗と、記事を書いていて感じた点です。
これから、畝を寝かして植え付けになります。
今回は以上です。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。


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