トマトの種を買いました。
早速、畑に植えようと思います。
いやいや..。
トマトの種はまず、ポットで育てて大きくなったら畑に定植します。
なんで?
「なぜ、苗を植えなきゃならんのか?」
「種でもよくない?」
と1度でも思ったことはないでしょうか?
私は、時間がない時、特に感じます。
種を購入すると表面はその野菜の写真、裏面は育て方や栽培環境について書かれています。
育て方には、種まきを推奨するもの、ポット、育苗箱、セルトレイなど推奨する種まきの方法が記入されています。
今回は、畑への植え付けについての基礎知識、種まきの種類と方法について説明していきます。
家庭菜園を始めていきたい方、なんで種を畑に撒かないのか疑問に思った方向けの内容です。
- 種まきの仕方と苗の植え付けの仕方
- 家庭菜園の苗の育て方
苗と種について
畑では苗から育てる野菜と種から育てる野菜があります。
なぜ全て種から育てるわけではないのでしょうか?
解説していきましょう。
種まきから始める野菜と苗の植え付け(定植)から始める野菜がある理由としては、野菜の科や生長の時期の問題があげられます。
大根のような根菜類の野菜については根を傷つけてしまうことで、健全な野菜が育たなくなる可能性があります。
移植をするより直で畑に撒き、育てていく方が適しています。
苗から育てるトマトのような果菜類については、育成温度が4月後半からになります。
そこから種を植えて準備していくと、収穫時期が少なくなり、収量が減ってしまう。
4月後半には苗を植えられるように、早めに育苗し、収穫の時期を早めに確保できるようにしています。
苗植えは収穫時期のコントロールが狙いとなります。
種植えと苗植えがある理由はわかった♪
どんな野菜が分類されるの?
種まきと苗植えの野菜
種撒きの野菜と苗植え付けの野菜を表にしてみました。
畑の植付けする方法(種まき・苗植付)に適した野菜科目を表にしました。
植付方法 | 野菜の科目 |
苗植え付け 適している野菜 | ナス科・ウリ科・アブラナ科 その他(ネギ・タマネギなど) |
種・苗 双方可能 野菜 | マメ科 その他(トウモロコシ・オクラなど) |
種まき 適している野菜 | 根菜類(ダイコン・カブ・ニンジン・ゴボウなど) 葉菜類(ホウレンソウ・コマツナ・シュンギクなど) |
発芽させるための注意点
種には種の都合があります。
これから説明することが合致して初めて芽を出してくれます。
発芽させ順調に野菜を育てる上で大事なことが5つあります。
水分
種を発芽させるためには水をあげ、種を起こしてあげる必要があります。
発芽するまでの水やりが重要です。
乾いた状態が続くと枯れてしまう恐れがあります。
種に水を与えれば、種は芽を出すことに力を入れていきます。
毎朝1回水やりをしてあげるようにしてください。
ただし水の与えすぎは注意です。
常に湿った状態では逆に酸素が行き渡らず、種が腐ってしまいます。
酸素(空気)
種に水をやることで、芽を出すために呼吸をし、エネルギーを作っていきます。
水やりと一対の考え方ともなりますが、ポット(写真)で苗まで栽培する場合などは、水の与えすぎで酸素不足とならないように、水はけがよく、保水力の高い用土を使用していきます。
育苗(ポット栽培)の為の用土は、野菜の特性にもよりますが、単体で赤玉土(小粒)、バーミキュライト、ピートモスを使用するのが一般的です。
それ以外でもポット植え付け用の専用用土があります。
ポットの植え付けについては改めて説明するよ♪
発芽の為に通気性、水はけは大事。
注意してみて‼
光
全ての種が光を好むわけではありません。
光を好む種を「好光性種子」、光によって発芽ができない種を「嫌光性種子」といいます。
写真のニンジンは光を好み、軽く土をかぶせるか、撒いた後、種を押えつけて土を被せないようにしていきます。
嫌光性種子は光に反応すると発芽されないため、種の大きさの3倍程度の深さに植えていきます。
おおよそ5㎜~10㎜程度の深さです。
好光性種子 野菜例…キャベツ・ブロッコリー・レタス・ゴボウ・ニンジン・カブ など
嫌光性種子 野菜例…ダイコン・タマネギ・ナス・トマト・カボチャ・キュウリ など
種袋の裏面で植え付け方法を確認してみましょう。
温度
衣装箱を使用した簡易マルチ
野菜が発芽できる温度を「発芽温度」。
栽培に適した温度を「生育温度」といいます。
畑に早く種を植えたとしても、温度が低ければ発芽せず生育もしていきません。
トマトのような4月後半には植え付けする苗は、育苗中、発芽温度を満たすよう工夫をしていく必要があります。
販売されている苗は、ハウスで育苗させたものです。
トマトやナスなどの夏野菜の育苗はなかなか大変。
家の中にあるもので工夫してみるのも楽しみのひとつ‼
野菜別の発芽温度と生育温度をみてみましょう。
代表的な 野菜名 | 発芽温度 | 生育適温 |
トマト | 24-30℃ | 20-25℃ |
ナス・キュウリ | 25-30℃ | 23-28℃ |
ピーマン | 20-30℃ | 25-30℃ |
カボチャ | 25-30℃ | 20-25℃ |
エダマメ | 20-30℃ | 20-25℃ |
ブロッコリー | 15-30℃ | 18-20℃ |
レタス | 15-22℃ | 15-20℃ |
ニンジン | 15-25℃ | 15-22℃ |
ダイコン | 15-30℃ | 15-20℃ |
ほとんどの野菜が20℃以上の温度を必要とします。
いくら、早く植えたからといっても温度が上記を下回れば、野菜は生長しません。
発芽温度は特に見落としがち。
あるあるの失敗例です。
気を付けて‼
種の寿命
種にも寿命があります。
種の袋の裏側に「有効期限」として記載がありますが、野菜により変わってきます。
有効期限=寿命=「発芽率」をいつまで維持できるか
家庭菜園サイズの畑では種を使い切ることは非常に困難、保管して来年も使いたいと思うのは至極当然です。
保管に適した温度:5℃以下 湿度:20~25%
適正温度が5℃上がることで寿命も半分になるともいわれます。
家庭では冷蔵庫で保管が一番適していますが、部屋などで保管した場合は、発芽率が著しく下がる可能性もあり、注意が必要です。
野菜室は熟す効果のあるエチレンガスにさらされる為、
種にとって良くない環境です。
冷蔵庫で野菜や果物と隔離して保管するのがベストです。
写真のような状態で袋の中に除湿剤「シリカゲル」をいれると◎。
種まきの仕方
種や苗から植える理由や注意点はわかりました。
種と苗の植え方を教えてほしい。
そうですね。
種まきと苗の植え方を学んで早速実践していきたいですよね。
そうそう。
種撒きの方法から教えてください。
種まきの方法については3つの方法があります。
筋(すじ)まき
①栽培床に棒を押し当て溝を作る
②溝の中に種を1列に撒いていく
③撒き終わったら土を軽くかぶせる
筋まきは、1列に種を配置することで、種まき後の作業である間引きや土寄せをしやすくするメリットがあります。
棒を押し当てて溝をつくる為、植付の深さがほぼ同じとなる為、発芽のタイミングが整いやすい。
筋まきの野菜… ニンジン・コマツナ・ラディッシュ など
準備する道具… 長い支柱などの棒、じょうろ
写真の状態は栽培床に2条撒きをしています。
長い支柱を使って溝を作るのがおすすめです。
好光性種子の場合は種を配置した後、支柱で種を押し付けて土はかぶせなくてもOK‼
点まき
①野菜に適した場所に穴を掘る
②穴の中に複数個の種を配置
③撒き終わったら土を軽くかぶ押さえる
点まきは、株が大きくなる野菜が対象の種まきの方法となります。
穴の中に2粒以上の複数個の種を植えていきます。
種の数を節約できる、間引きの手間がなくなるメリットがあります。
点まきは深さが一定になるように、ビンの蓋などで押し当てて穴を掘ると良いです。
点まきの野菜… ダイコン・キャベツ・エダマメ・ハクサイ など
準備する道具… 瓶のふた、じょうろ、スコップ(移植ごて)
スコップ(移植ごて)で行う場合、深さが揃わないため、発芽タイミングがずれてしまいます。丸い蓋や瓶など使用する方が一定にできますよ。
ばらまき
①ばらまきは畑に対して帯状に種を不規則にまいていきます。
②ばらまいたら土を軽くかぶせ土を押えます。
ばらまきは株間が近くても育つ野菜や、間引き菜を収穫しながら育てる野菜向きです。
ばらまきの野菜… ホウレンソウ・リーフレタス・ミズナ など
準備する道具… じょうろ、スコップ(移植ごて)
ばらまきで育てた野菜は間引きしたものも食べる目的です。
無駄のない栽培方法です。
畑での種の植付はこの3つを基準に行っていきます。
苗の植付はどうなんです?
苗の植え付けの仕方
苗の植え方についてみていきましょう。
良い苗についてからみてみましょう。
良い苗とは
家庭菜園の場合、必要な苗の本数も数本から10本単位になります。
コスト面を重視するなら、育てたい規模でどちらを購入するか検討していきましょう。
購入や育苗にあたり簡単に良い苗についてみていきましょう。
苗の良し悪しを表にしました。
苗選びの時、自分で育苗したときの参考にしてみてね。
チェックポイント | 良い苗 | 悪い苗 |
葉の状態 | 緑色でツヤがある 双葉がある | 下葉が枯れていたり 黄色に変色している |
茎の状態 | しっかり(太い) 華奢な印象を受けない | なよなよ(細い) 華奢な印象を受ける |
根の状態 | 根本がぐらぐらしない 根がよく張っている | 根本がぐらぐらする 根が張れていない |
その他 | 虫食いなし | 虫食いあり |
購入する場合は、入荷から時間が経っている苗はぐったりしているからわかりやすいよ。
苗が店頭に並ぶのも植付適期より早いタイミングです。
苗を購入する場合、環境が変わるから植付を希望する1週間前に購入しておこう。
次は苗の植え方について説明していくね。
苗の畑への植え方
苗を準備します。
苗は、本葉4~5枚程度になった時点が植え付け適期になります。
注)写真の苗の下部分小さい葉が双葉になります。
天候は曇りで風が少ない日が良いといわれますが、タイミングを合わせるのは難しい為、乾いていない、濡れた状態のときは避けましょう。
準備する道具… じょうろ、スコップ(移植ごて)
苗を植える場所に穴を掘り、水を撒いておきます。
植穴は植え付け野菜のポットより一回り大きいサイズで掘っていきます。
植付の間隔は野菜によりことなります。
狭すぎない、広すぎない感覚で植穴を掘っておきます。
苗をポットからとりだします。
苗にはあらかじめ水をあげ、取り出した時にくずれないようにします。
崩れるようなら握って形を維持します。
ポット下の排水穴に指を入れて押し出してあげると取り出しやすい。
抜き取った野菜をそのまま植穴に丁寧に入れていきます。
植穴に苗を入れる際に傷をつけないように注意しましょう。
苗を固定したら土を入れていきます。
苗がグラグラすることのないように、株もとに土寄せし、手で押さえていきます。
植え付けが一通り完成したら、再度たっぷり水まきします。
しばらくは表面が乾かないように行っていきます。
根が畑に根付くまで行います。
新葉が出て、成長が確認できるようになればしっかり根付いているということです。
以上で苗の植え付けは完成です。
畑に種まきや苗を植え付けする方法は以上です。
これで…ようやく野菜を植えれるね。
でも畑に黒いビニールなんかしているの見かけるけどその準備は?
それは……。
植え付け前に行うマルチですね。
今回はここまで。
次の機会に説明していくね。
畑の植付け 苗と種まき まとめ
今回は畑への苗の植え付けの方法と種まきについて説明しました。
野菜により種から植付するもの、苗から植え付けするものがあります。
野菜によって条件が変りますので、必ず内容を確認し植付しましょう。
また、植え付け方法やお話ししたことについて簡単にまとめました。
種類 | 植付方法(畑) | その他 備考 |
種撒き | 筋まき、点まき、ばらまき | 発芽ポイント:水分、酸素、光、温度、寿命の5つの要素を満たす |
苗 | 1本づつ植付 | 良い苗:葉の色、茎の太さ、根がしっかり張っている、虫がいない |
上記に注意して植え付けをしていきましょう。
育てる野菜により、マルチを準備したり、防虫のネットを張ったり準備を別途していきます。
今回は以上となります。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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