家で食べる野菜は自給自足で賄いたい。
色々な野菜をランダムに植えても問題ないの?
野菜も職場の人間関係と同じ。
適当に配置したりすると問題ありますよ。
問題が起きないように、配置とシフトが大事です。
今回は「野菜の作付け計画」についてお話しします。
「今年、植えた野菜を連続して植えてはいけない。」
この話し、聞いたことはありますか?
同じ場所で、同じ作物や科のものを続けて作ると、病気や害虫が発生し生育が悪くなります。
ひどい場合、収穫が「0」となることもあります。
これを「連作障害」と呼びます。
この連作障害は、作物により連作が可能なもの、5年以上期間を開けないといけないなど様々です。
野菜を植えるにあたり、障害の内容と対策から年間スケジュールとなる「作付け計画」を考えていきます。
これから、家庭菜園を始める方、作付け計画を組んでいない方向けの内容です。
これを読んで頂ければ、野菜を植える上での注意点がわかり、今年だけでなく来年の野菜づくりの見通しも立つようになります。
- 連作障害の意味と対応策
- 輪作年限を用いた作付け計画の作り方
- 間作と混作の考え方
作付け計画をする理由
野菜にも縛りがあるんですね。
面積狭ければ、やりようがないんじゃないんですか?
面積が小さいほうが重要です。
無計画だと、最終的に育てたいものができなくなる可能性があります。
計画を立てる理由は植え時、収穫時を把握し、来年以降も野菜作りを楽しむ為です。
作付け計画は、野菜を植える、施肥、収穫、土づくりをし、次の野菜を植える準備をスケジュール化。
野菜づくりのそれぞれのタイミングを逸しないようにしていくことです。
今回は作付け計画をするにあたり、特に気を付けなければならない「連作障害」と、それを回避をしながら計画を立てるための基本について考えていきます。
連作障害とは
野菜は同じ場所に、同じ科の野菜を連続して植えると、その科特有の土壌障害が出やすくなるなど、以下のトラブルが発生します。
1.土壌病害
土壌病害は、土壌中にいるウイルスや細菌の働きでおきます。同じものを同じ場所で作り続けると特定のウィルスや細菌が増えすぎてしまい発生します。
例)トマト・ジャガイモ…青枯れ病(葉が緑色のまま、枯れてしまう)
キャベツ・ブロッコリー・白菜(アブラナ科)…根こぶ病(根がこぶのように膨れる病気)
2.土壌虫害
土壌中の虫の環境にも影響します。
同じものを作り続けることで、虫の住環境が変化せず、野菜に悪影響を及ぼす害虫の温床となります。
「センチュウ」という目視で確認できない小さく透明な虫が有名です。
もともと畑に存在していますが、数が増えすぎることによって害を及ぼしてしまいます。
特に、根にこぶをつくる「ネコブセンチュウ」、根腐れさせる「根腐れセンチュウ」が代表例です。
なってしまうと食い止めることが困難なため、未然に防ぐことが必要です。
3.土の栄養バランスが崩れる
同じ科のものを育て続けるということは、特定のチッソ、リン酸、カリ、微量要素が持ち出され、減り続けることで、栄養バランスがおかしくなり、生育障害を起こしてしまいます。
例)トマトの尻腐れ… カルシウム欠乏
葉の葉脈以外が黄色になる…マグネシウム欠乏
4.忌地物質による干渉
植物は根っこより、忌地物質という有機物質やフェノール物質を放出し、他の植物の生育に干渉しています。
自分の生長を優先するために忌地物質を放出しています。
ただ、同じ野菜を育て続けることで、他の植物に干渉しているつもりが、作物自身の生長に影響を及ぼす現象が発生してしまいます。
家庭菜園のような限られたスペースで、野菜を育てる人の方が
「連作障害」については注意が必要です。
連作障害の防止と対策
障害にならない対策にはどんなものがありますか?
連作障害への対策は多数ありますが家庭菜園でできる対策はこちらです。
1. 輪作
「連作障害」を回避するための一番ポピュラーな方法です。
畑をブロック分けし、栽培する野菜、科をローテーションで栽培していく方法です。
同じ野菜の植付を控えるべき期間を、「輪作年限」といいます。
2. 間作・混植(コンパニオンプランツ)
輪作を同時に行う方法です。
土壌中の微生物のバランスを崩さないようにするため、多種多様な植物を間に植えたり、混ぜて植えたりする方法です。
近くに植えることで病害虫を防いだり、生長を促進するような相性の良い組み合わせを「コンパニオンプランツ」とよびます。
3. 有機物の投入(土づくり)
野菜を育てる前の土づくりの段階で、有機物(完熟堆肥など)を投入し、土壌中の良い微生物を増やし、微量要素の補給を行います。
4. 天地返し・日光消毒
1月の寒い時期に畑の土壌中の土を表面にもっていくように大雑把に耕し、その状態で放置します。(天地返し)
土壌中の土を冷たい風と太陽にあてることで、土壌中に過剰に増えた微生物を死滅させることができます。
連作障害対策というより、毎年行えれば理想的です。
5. 土壌消毒
天地返しとは反対の時期、真夏に米ぬかと透明マルチを使用して熱消毒を行います。
マルチをした状態で1ヶ月放置します。
その後、耕さずそのまま植付していきます。
病害虫の卵や雑草の種の除去、連作障害対策となりますが、良い菌も死滅してしまいますので、極力行わない方法です。
6. 畑を休ませる
収穫の終わった畑を休ませるのも対策となります。
人間の体と同様に自然に戻す力を利用して、連作障害の緩和をすることができます。
緑肥作物のマメ科のシロツメグサやクローバーを植えっぱなしにするのもおすすめです。
根粒菌というチッソを固定する微生物と共生し畑にとって良い働きをしてくれます。
連作障害を防ぐために輪作などの方法を用いて計画と過去の記録をつけていきます。
作付け計画を作る基礎知識
作付け計画を練る基本知識ですね!
Check.1 野菜の科目
野菜の同科目を連続で植えると「連作障害」の原因となりえることは先に説明しました。
野菜の分類には2種類があります。
- 食用部位の分類 … 「葉菜類」、「果菜類」、「根菜類」
- 植物学による分類 … 「ナス科」、「ウリ科」、「イネ科」など
「連作」を判断するのは「2」の植物学による分類となります。
野菜に限らず、花についても連作を嫌います。
野菜の科目については以下の表のとおりとなります。
野菜・花の科目を一覧にしました。
連作とならないように表を確認しながら作成しましょう。
分類 | 葉菜類 | 果菜類 | 根菜類 | 花・観葉植物 |
---|---|---|---|---|
アオイ科 | オクラ | ハイビスカス パキラ | ||
アブラナ科 | コマツナ キャベツ ブロッコリー カリフラワー ナバナ ハクサイ ミズナ チンゲンサイ | ダイコン カブ ラディッシュ | ルッコラ ハボタン ルナリア ナズナ | |
イネ科 | トウモロコシ イネ | スモークグラス パンパスグラス | ||
ウリ科 | キュウリ カボチャ ズッキーニ ゴーヤ スイカ メロン マクワウリ | ヘチマ | ||
キク科 | レタス 春菊 | ゴボウ | 菊 ガーベラ ダリア | |
キジカクシ科 | アスパラガス | スズラン ヒヤシンス | ||
サトイモ科 | サトイモ | カラー ポトス | ||
シソ科 | シソ バジル | ラベンダー | ||
ショウガ科 | ミョウガ | ショウガ | ||
セリ科 | パセリ セロリ パクチー | ニンジン | エリンジウム アストランティア | |
ナス科 | ナス トマト ピーマン パプリカ シシトウ トウガラシ | ジャガイモ | ホオヅキ ペニチュア | |
バラ科 | イチゴ | バラ | ||
ヒガンバナ科 | ワケギ アサツキ タマネギ ニラ ネギ | ニンニク ラッキョウ | スイセン ヒガンバナ | |
ヒユ科 | ホウレンソウ | ケイトウ 千日紅 | ||
ヒルガオ科 | クウシンサイ | サツマイモ | アサガオ | |
マメ科 | エダマメ インゲン ソラマメ エンドウ 落花生 | スィートピー フジ | ||
ヤマノイモ科 | ヤマイモ ナガイモ |
全部で17科目もあるんですね。
同じ科を植えないように気をつけなきゃ。
Check.2 輪作年限
「輪作年限」は、1度作った場所では、同じ科の野菜を育てることを控えるべき期間のことです。
この期間については、同じ野菜はもちろん、同じ科目も栽培を控えていきます。
輪作年限は以下のとおりとなります。
連作が可能な野菜もありますが、
長いもので4~5年ほど空けたいものもあります。
輪作年限 | 葉菜類 | 果菜類 | 根菜類 |
---|---|---|---|
4~5年 | スイカ エンドウ | サトイモ | |
3~4年 | ハクサイ ニラ ナバナ | メロン ソラマメ トウガラシ ナス ピーマン シシトウ パプリカ トマト (ミニトマト) キュウリ | ヤマイモ ナガイモ |
2~3年 | イネ サトウキビ キャベツ | インゲン イチゴ ゴーヤ エダマメ 落花生 オクラ | ゴボウ ジャガイモ ニンジン ジャガイモ ショウガ |
1~2年 | ブロッコリー カリフラワー ホウレンソウ ネギ レタス クウシンサイ シソ ミョウガ バジル ワケギ アサツキ ミズナ | マクワウリ | ラディッシュ ダイコン カブ ニンニク ラッキョウ |
1年 | コマツナ | ||
連作障害が 起きにくい 野菜 | アスパラガス トウモロコシ コマツナ 春菊 セロリ タマネギ チンゲンサイ パセリ パクチー | カボチャ ズッキーニ |
表のとおり、同じ区画で上記の期間は同じ科の野菜はお休みするようにします。
同じ野菜ではないんですね。
ジャガイモなんかは注意ですね。
輪作年限を用いた畑の作付け計画
輪作年限を用いた作付けについて参考例を添付しました。
畑を4区画に分けて、1年1品種栽培の参考例です。
4区画のブロックにわけ、4品種を栽培します。
次年度、同じ区画に同じ野菜は栽培できないため、初年度、栽培した野菜をローテーションして育てます。
それを4年間でサイクルし、5年目で1年目の植付内容に戻るという方法です。
1つの区画に1品種を1年で栽培するようにしていますが、冬野菜を加えても同様の形でサイクルしていきます。
野菜を育てる規模で、区画割りでローテーション規模も変わりますが、思いつきで野菜を育てるよりも、
作付けの計画を考える上での労力が減り、準備、経費の面でもロスも少なく、おすすめの方法です。
まず、育てたい野菜と畑の区画分けを考えてみましょう。
区画を分けたら、野菜の科目と輪作年限を確認しながら
作付け計画を行っていきます。
間作と混植(コンパニオンプランツ)
連作障害を防止する方法として冒頭に紹介しましたが
間作と混植について少し説明します。
間作
間作は育てている野菜の畝と畝の間にもう1品種、作物を作ることです。
例)サトイモとサトイモの間にセロリを植えると、サトイモの葉で日陰となり良く生長するなどです。
1.栽培中の野菜の間に、別の野菜を育てることが出来る
2.メイン栽培している野菜が、間作目的で植えた野菜の風よけ、日よけとして活用できる
3. 交互に作物を植えることで、土壌の成分が平均化していく
1.場所が必要
2.相性があるため、相性によっては生長を阻害する可能性がある
混植
混植は1つの畝に、複数の野菜を並べて育てることです。
例)トマトとバジル…バジルの香りは害虫を寄せ付けない効果があります。トマトを害虫から守ってくれます。
バジルは水分を欲しがり、トマトは水分がない方が甘い実をつけることから、トマトはあまり水分を必要としません。
バジルがトマトの水分を吸い、健康に育っていきます。
1.1つの畝で複数の野菜を栽培できる。
2.互いの弱点を補い、組み合わせによっては防虫効果も期待できる
3. 場所が狭くてもできる組み合わせがある
1.組み合わせによっては逆に場所を取る可能性がある
2.相性があるため、相性によっては生長を阻害する可能性がある
輪作・間作・混植について説明しましたが、
野菜同士の相性についてはとても大事です。
間作・混植については、相性の良し悪しについては改めて説明します。
それ以外にも注意することってありますか?
生長に関しては相性が良いですが、注意が必要な組み合わせもあります。
下記参考にしてください。
作付け計画の考え方 まとめ
結局、輪作、間作、混植どれが一番いいの?
輪作で計画を練っていくのが、最良です。
連作障害を回避する方法を多数紹介させて頂きましたが、輪作でローテーション栽培していくように計画を作るのが
一番わかりやすく、集中して野菜づくりを楽しめる方法です。
野菜づくりに慣れてきたところで、間作、混植を試してみるようにしてみては如何でしょうか?
作付け計画の記録については、自分のわかりやすい方法で管理するようにしていきます。
私の場合はエクセルで、畑ごとにブロック分けし、施肥状況やそれ以外の行ったことを記入。
追肥の時期を忘れないようにする狙いです。
自分なりに考えていけば、野菜づくりがより面白くなりますよ。
計画が終われば、畑に植付をしていきます。
今回は以上です。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
畑の土づくりはこちらを参考にしてください。
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