肥料は必要?
確実に野菜を収穫したいなら肥料は不可欠。
肥料の基本について考えてみましょう。
「堆肥を入れたから肥料はいらない?」
「肥料の種類が多すぎてよくわからない。」
といった考えや経験はありませんか?
肥料を探しにホームセンターに行くとたくさんの肥料や堆肥があって迷ってしまいますよね。
よくわからない、金額が高いから、肥料をあげないは野菜を育てづらくしてしまいます。
野菜は土の栄養を吸って成長し収穫されます。
栄養を吸収してしまった土には、その栄養を補ってあげなければなりません。
今回は肥料の目的と、最初の肥料(元肥)の仕方について説明していきます。
これから、家庭菜園を始める方におすすめの内容です。
- 肥料をあげる目的と意味
- 肥料の投入量についての考え方
- 元肥の仕方
肥料の目的
肥料の詳細については座学ですよね。
正直、これわからずにやっている人も多いと思います。
憶えておいた方が良いことがちらほらありますから読んでみて。
肥料をあげる目的は土の中の栄養バランスを整えることです。
野菜を収穫することで土の栄養を野菜が受け取って外に持ち出しされます。
野菜を収穫した後の土は栄養が偏った状態です。
それを取り戻すため、堆肥と石灰を使用し、植物が栄養を吸収しやすい土づくりをしました。
3回目のステップで肥料という栄養を補充します。
肥料を施すことを「施肥」といいます。
種まきや苗の植付前に施す肥料を「元肥」(もとごえ)、「基肥」(きひ)。
生育途中で施す肥料を「追肥」(ついひ)といいます。
作物が生長するためには様々な栄養が必要になります。
肥料を施す方法については憶えてほしいです。
「元肥」と「追肥」ですね。
植物が必要とする要素
植物が必要とするのは酸素などを含めた17種類の元素(要素)を必要とします。
難しい内容ですが、空気中に含む「酸素」、「水素」、「炭素」は根や葉から吸収します。
それ以外に14種類は根から養分として吸収しますが、畑では肥料として人が与えてあげる必要があります。
必要量の大きさで「多量要素」と「微量要素」に分けられますが、肥料を施す上で理解しておきたいのは「多量要素」となります。
「多量要素」(1㎡あたり5g以上吸収されるもの)は6種類。
大事なのが3要素と呼ばれる「チッソ」、「リン酸」、「カリ」の3つとなります。
- チッソ(N)
-
「葉肥」、葉や茎の生育を促す
- リン(P)
-
「花肥」、「実肥」、花付き、実付きをよくする
- カリウム(K)
-
「根肥」、茎や根を丈夫にする
二次要素として「カルシウム」、「マグネシウム」、「イオウ」があります。
3要素と「カルシウム」、「マグネシウム」を合わせて5要素という言い方もします。
- カルシウム(Ca)
-
細胞の強化、全体を強くする
- マグネシウム(Mg)
-
リン酸の吸収を助ける。苦土ともいう
- イオウ(S)
-
根の発達を助ける
「微量要素」(1㎡あたり0.1g以下しか吸収されないもの)は8種類。
「塩素(Cl)」、「ホウ素(B)」、「鉄(Fe)」、「マンガン(Mn)」、「亜鉛(Zn)」、「銅(Cu)」、「モリブデン(Mo)」、「ニッケル(Ni)」
があります。
微量要素については生長には欠かせない要素ですが必要量が少ないです。
肥料として補充する必要は通常ないですが、1つでも過不足が発生する場合、全体の成長を阻害します。
生長は一番少ない栄養素に合わせて決まってしまいます。
養分の過不足が起きるとどうなるのでしょうか?
以下、簡潔に症状を説明します。
チッソ、リン酸、カリは大事。
肥料袋に必ず載っています。目的と一緒に徐々に憶えていきましょう。
養分の過不足
養分の不足があった場合の代表的な症状については以下のとおりです。
- チッソ欠乏
-
葉全体が黄色になり、古い葉は落ちる。全体的に生育が悪くなる。
- リン酸欠乏
-
葉が濃緑色になり、葉柄が赤みや紫色を帯びる。全体的に艶がなくなり下葉は赤みがかり枯れ死、落葉。
- カリ欠乏
-
生育後期に下葉の周辺や先端が黄色または褐色に変化し、枯れ死、落葉。
逆に養分の過剰もよくありません。
- チッソ過剰
-
葉全体が青緑色になり、茎や葉が軟弱になり、病気にかかりやすくなる。
- リン酸過剰
-
リン酸自体は土中のアルミニウムや鉄と結びついて植物が吸収しづらくなり、必要以上に施しがち。
またリン酸自体雨で流れづらい為蓄積していきます。
貯まり過ぎた場合深刻なリン酸過剰症や土壌障害の発生の原因となる。
- カリ過剰
-
マグネシウムの吸収を阻害し欠乏症を生じさせます。
家庭菜園の場合、趣味で行う方が多い為、資材コストの概念が薄くなりがちです。
肥料なども必要以上に与えてしまう失敗はよくあります。
肥料のやり方としては控え目にバランスよく施すようにしていきます。
要素過不足は、野菜を育てた時に直面してみて原因を考えていきましょう。
野菜毎の肥料の適量
栽培にあたって上記のようなトラブルをなくすために野菜ごとの具体的な施肥量を把握しておきましょう。
都道府県ごとに主な作物ごとに肥料を施す量や時期の目安を作成しております。
静岡県公式ホームページから土壌肥料ハンドブックPDF形式で各野菜の施肥量を確認できます。
参考リンクは下記。(静岡県以外の場合は「お住まいの県 土壌肥料ハンドブック」で検索)
こちらの施肥量については「kg/10a(アール)」表記となります。
10a=1,000㎡あたりとなりますので家庭菜園サイズ1㎡あたりに変換が必要となります。
例えば、トマトの施肥量(10aあたり)
施肥時期 | N チッソ | P リン | K カリ | 堆肥 |
---|---|---|---|---|
元肥 定植10日前まで | 21.0㎏ | 21.6kg | 20.0kg | 3000kg |
1㎡あたりは上記数値÷1000で求めることが出来ます。
施肥時期 | N チッソ | P リン | K カリ | 堆肥 |
---|---|---|---|---|
元肥 定植10日前まで | 21.0g | 21.6g | 20.0g | 3kg |
肥料を散布の目安とします。
3要素の特徴に合わせた肥料のあげ方はこちらを確認してください。
肥料の計算にあたり肥料袋の見方はこちらを参考にしてください。
野菜によって施肥量も、肥料のやり方も変わってきます。
一度、ハンドブックを見て適正な施肥の量を確認してみましょう。
適正な量がわかっていれば、野菜の生長と肥料の過不足がわかりやすくなります。
土づくり 元肥をする
施肥量の確認が済んだら元肥について考えていきます。
肥料の種類
肥料には3つの分類があります。
1.原料
「化学肥料」は空気や鉱石等の天然物の原料として化学処理を施したものです。
分類 | 特徴 | 肥料名 |
---|---|---|
単肥 | 3要素の1種類のみを補充するもの | 硫安、熔リン、硫酸カリ |
配合肥料 | 単肥を単純に混ぜたもの | 単肥配合、BB配合 |
化成肥料 | 2要素以上を科学的に結合させたもの | 普通化成、高度化成 |
「有機質肥料」は魚のカスや菜種油カスなど動植物由来のものとなります。
有機野菜を作りたい方は有機質の肥料を選択していきます。
私が元肥の基本としていることは有機質肥料を使うようにしています。
追肥のみ化学肥料を使用しています。
2.形状
肥料が固形か、液体かに分かれます。殆どが固形となります。
固形肥料は大粒なほど効果がゆっくり現われていきます。粉末タイプが元肥、追肥双方に向くタイプとなります。
粒がしっかりしているものは元肥で施すようにしていきます。
また、液体肥料(液肥)は速効性が高く、追肥向きとなり、元肥は不向きです。
3.効き方
肥料には早く効き始める速効性のものと、ゆっくり効き始める緩効性の2種類があります。
速攻性の肥料は硝安、硫安、塩安、尿素などの単肥、有機質肥料の中では発酵鶏ふんが対象となります。
速効性肥料はすぐ効き、すぐ切れます。
元肥、追肥双方とも対象ですが、元肥を施した後、1ヶ月以内にピークを迎え、徐々に肥料効果は下がっていきます。
1ヶ月以内に1度追肥をしていく意識が必要です。
緩効性の肥料は熔リン、石灰チッソなどの単肥、有機質肥料では油かす、米ぬかが対象となります。
緩効性肥料はじっくり溶け始めて徐々に効果が出始め持続していきます。
肥料にもよりますが、1~2ヶ月程度の効果は期待できます。
野菜の生育期間と肥料の効果期間が合えば追肥は不要にすることもできます。
天候状態に左右される可能性は高いので元肥をし追肥をするのが普通の流れとなります。
速効性の肥料は元肥より追肥。
緩効性の肥料は元肥に向いています。
元肥をする
植付1週間前の作業、元肥をしていきます。
元肥には2種類の方法があります。
元肥の方法は2種類あります。
全面に肥料を撒きすき込む「全面施肥」と先々根が届く場所にあらかじめ肥料を設置しておく「溝施肥」という方法
です。
全面施肥(生育期間が短いもの向け)
おすすめ野菜(一部)
種別 | 野菜 |
抜き取り収穫の葉菜類 | コマツナ、ミズナ、春菊、レタス、ほうれん草 |
ユリ科葉菜類 | 玉ねぎ、ニンニク、ラッキョウ |
根菜類 | かぶ、大根、ニンジン、ゴボウ |
全面施肥のやり方は?
植付する範囲全面に肥料を撒いていきます。
わかりづらいですが色の変っている部分が肥料です。
元肥に使用したもの
鶏ふん:100g/㎡
油かす:50g/㎡
油かすは未発酵品の為、1週間以上植付を控えました。
鍬で肥料をすき込みます。
注意点ですが鍬を土に入れて振り上げる際は自分の方にひかずに真上に振り上げます。
上下作業をすることで肥料の偏りを防止します。
土中10㎝~15㎝位の混ぜ込みが目安です。
混ぜ込みながら畝をつくります。
溝施肥(生長期間が長い野菜向け)
おすすめ野菜(一部)
種別 | 野菜 |
マメ科、ウリ科、ナス科 | 生長後半に肥料が必要な野菜(ナス、キュウリなど) |
葉菜類 | キャベツ、ブロッコリー、芽キャベツ |
生長期間が長い葉菜類 | アスパラガス |
根菜類 | サトイモ、ジャガイモ、ナガイモ |
溝施肥のやり方は?
溝を掘り肥料を配置していきます。
肥料については溝内に均等に施していきます。
完了次第溝を埋めていきます。
溝部分の上に野菜の植付をしていきますので
見失わないように目印の棒などをたてておくと
間違いがないです。
溝を埋めたら畝を作り野菜の植付をしていきます。
野菜:キャベツ
元肥肥料:ぼかし肥料(固形、ペレットタイプ)
を使用しました。
野菜に合わせていずれかの方法にて肥料を施していきます。
元肥の方法は以上です。
元肥が終わったら畝上げしていきます。
畝の作り方についてはこちらを参考にしてください。
肥料の種類と量の決め方(個人的なやり方)
私が普段、元肥で行っている肥料と施肥量になります。
参考にしてみてください。
肥料の種類の決め方が一番悩むところではあります。
私の場合、土づくり時点は有機質肥料を元肥としています。
使用の第1候補が発酵鶏ふんです。
鶏ふんはチッソ4%、リン酸7~9%、カリ2.5%、石灰分9~14%(肥料の容量に対し)
の要素配合となります。
石灰分が多い為、石灰を気持ち少なく撒くようにしています。
即効性の高い肥料となりますが、特にチッソが1ヶ月以内になくなるため、チッソを補充する目的として、チッソを含んだ有機質肥料と併せて使用しています。
実付きを良くしたい野菜の場合、「草木灰」チッソ3~4%、カリ7~8%、石灰分11%(肥料の容量に対し)
葉物野菜などは「油かす」チッソ5~7%、リン酸1~2%、カリ1~2%
写真分量:鶏ふん2:1 鶏ふん100g:油かす50g(㎡)
の分量にてバケツで写真のように混ぜ合わせて使用しています。
家庭菜園の大半の野菜はこの分量で元肥しています。
(鶏ふん+油かす)
例外あるので、ハンドブックを見て施肥量は確認しておきましょう。
鶏ふんを使用している理由はコストが安いところです。
ただ臭いがあるためご近所が近いようでしたら注意が必要です。
油かすは未発酵の為、本来なら2~3週間は植付まで時間を空けたい為、堆肥と投入でもOKです。
組み合わせについては石灰成分が高いとpH値を上げてしまう可能性があるため、デメリットも踏まえ考えていく必要があります。
元肥を実施し、作物の生長過程で葉の様子を見て足りない栄養を考えて追肥していく方がわかりやすいです。
答えは1つではない為、自分の栽培方針を決め、使う材料を決めていきます。
施肥量ですが、考えることが難しい場合には参考にしてみてください。
施肥については野菜を育てて慣れていきましょう。
最初は、インターネットやお店の人のおすすめの方法を試してみましょう。
肥料のやり方 まとめ
今回は元肥についてご説明しました。
元肥は植付の1週間前に行いますが、使用する材料の配合や発酵の有無については注意が必要です。
特に未発酵のものを使用し植付を急ぐと、植物が地熱の上昇に耐えられなくてダメになるということは十分あり得ます。
使用する材料については内容を把握し使用していきましょう。
元肥と畝上げし1週間後に植付をしていきます。
今回は以上となります。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
土づくり計3回を見返したい方はこちら‼
コメント