化学肥料の成分一覧 特徴

化学肥料成分一覧 アイキャッチ

化学肥料の種類と成分、特徴について解説します。
私は主に追肥化学肥料を使用しています。

「化学肥料の特徴を知りたい」

化学肥料についてはデメリットばかりフォーカスされがち。

化学肥料、製品別の成分と特徴についてまとめました。

この記事を読んで頂ければ、化学肥料についての使いどころがわかるようになります

この記事は、化学性肥料選びをされる家庭菜園ユーザー様全般向けの内容です。

施肥前の比較に参考ください。

この記事でわかること
  • 化学肥料の特徴
  • 化学肥料の種類と商品毎の特徴
  • 元肥と追肥、施肥をする上での考え方
目次

化学肥料の特徴

化学肥料の特徴についてみていきましょう。

化学肥料は空気や鉱石などの原料を化学処理を施し作られた肥料です。

製造過程で肥料の形状を大粒にするための化学処理を行った場合も化学肥料扱いとなります。

肥料については以下の考え方となります。

  • 鉱石などの天然のものを化学処理なし → 天然無機肥料
  • 動物性、植物性由来の化学処理なし  → 有機質肥料
  • 上記を化学処理した肥料       → 化学肥料

化学肥料の特徴についてまとめました。

1.肥料の効果がすぐに発揮される

2.肥料中の成分が明確でわかりやすく、施肥が容易

3. 形状が様々なタイプがあり用途ごとに商品を選択しやすい

1.使いすぎると、土壌の有機質が減少し、成分バランスが崩れる

2.土壌の微生物が減少することで、病原菌を抑えることが出来なくなり農作物が病気になりやすくなる

3. 過剰の施肥は植物が吸収できず地下水として流れてしまうため、環境汚染につながる

使い勝手が良いですが、化学肥料を使いすぎると
野菜に適した土ではなくなっていってしまう

良い土の条件は団粒構造でしたよね。
有機質の堆肥や肥料を使用して畑を準備しましたよね

それだけ聞いていると化学肥料の使いどころがないような気がする…

化学肥料を程ほどに使っていくのが、安定した野菜づくりの秘訣。

1.肥料の速効性の求められる「追肥」に化学肥料を使っていく方法

2.栽培期間の長い作物の追肥では補充が難しい「リン酸」を元肥+アルファで補充するために「単肥」を使用

化学肥料を適度に使うことで野菜づくりの難易度を下げることができていきます。

単肥 成分一覧 特徴

化学肥料には単肥化成肥料配合肥料があります。
単肥より説明していきます。

単肥とは3要素(チッソ・リン・カリ)のうち1つの要素しか含まないもののことです。

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方特徴・留意点
チッソ
(N)
リン
(P)
カリ
(K)
チッソ肥料硫安21速効性施すと酸性になる
塩安25速効性施すと酸性になる
硝安34速効性土に吸着しない
尿素46速効性中性。液肥効果的
石灰チッソ21緩効性毒性あり。使用注意
リン酸肥料熔リン20緩効性水では溶けず、酸性肥料で溶ける
カリン酸石灰17~20速効性水に溶けやすく、短期植物向け
カリ肥料硫酸カリ50速効性土を酸性にする。追肥向け
塩化カリ60速効性土を酸性にする。
配合比と効き方

太字で枠内の色を付けたものは、追肥や元肥で使用するものになります。単肥の中の個人的なおすすめ品です。

 それぞれの肥料を好む野菜

1.チッソ肥料(硫安):収穫期間の短い野菜 コマツナ、ほうれん草、チンゲン菜

2.リン酸肥料(熔リン):収穫期間が長い実付き野菜 ピーマン、トマト、ナス

3. カリ肥料(硫酸カリ):根もの野菜 ジャガイモ、サツマイモ

詳しい特徴は下記参考ください。

硫安

追肥で使用してます。

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
硫安21速効性
硫安 配合比
硫安 

硫安(硫酸アンモニア)は葉の肥料(チッソ肥料)。

相性の良い野菜コマツナ、ほうれん草、チンゲン菜

(収穫期間が短い葉物野菜)

水に溶けやすく速効性が高く、作物への吸収が早いのが特徴です。(肥効期間:1ヶ月程度)

与えすぎると、pHは酸性に傾いていくので、多量散布には注意が必要です。

アルカリ性に傾き過ぎた土を酸性調整する方法

畑では元肥追肥双方で使用が可能です。3日程度で効果を発揮していきます。

硫安は稲作、田植え前に使用されます。
畑では野菜の葉が黄色になり、チッソが足りていないと思った時に使用してます。

塩安

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
塩安25速効性
塩安 配合比

塩安(塩化アンモニア)は葉の肥料(チッソ肥料)です。

硫安よりさらにチッソ分を含み、水に溶けやすくなり速効性が強いのが特徴。

吸湿性も高く、葉にあたると葉が焼ける恐れがあり、与えすぎると肥やけ(根を痛めたり、植物が死んでします)恐れもありますので、少しづつ与えていきます。

硫安同様、多量散布は土pHを酸性に傾けますので注意が必要です。

元肥追肥双方で使用可能(硫安よりさらに効果が早い)

硝安

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
硝安34緩効性
硝安 配合比

硝安(硝酸アンモニア)は葉の肥料(チッソ肥料)です。

塩安よりさらにチッソ分を含み、水に溶けやすく速効性が強いのが特徴。

中性肥料となりますので酸性に傾かないですが、理由として土の中に留まらず、流出が早い。

塩安以上に吸湿性が高く、葉にかかると肥やけを起こす場合があります。

追肥(土散布)は200倍に薄めて液肥として使用していきます。

元肥追肥双方で使用可能。

尿素

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
尿素46速効性
尿素 配合比

尿素はチッソ分を含み、水に溶けやすく速効性が強いのが特徴。

中性肥料となりますのでpHは酸性に傾かない

根が弱っている時に液肥の葉面散布は効果的。

土壌液肥… 200倍

葉面散布… 300倍 

尿素は湿気を吸うと固まる特性があるため1度で使い切る量を購入してください。(水の溶かした場合も同様)

元肥追肥双方で使用可能ですが成分が多い為、過剰施肥にならないようにしていきます。

石灰チッソ

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
石灰チッソ21緩効性
石灰チッソ 配合比

石灰チッソは名前のとおりチッソの他、石灰分消石灰と同等レベル(60%程度)を含んでいます。

追肥より元肥として使用します。

石灰チッソ内の成分が土中水分と反応することで除草、殺虫、殺菌効果を発揮します。

石灰成分を含んでいるためpHをアルカリ成分に傾ける効果がありますが、植付までに7~10日ほど時間を空ける必要があります。

注意点として、散布時、周辺の植物に付着すると薬害がおきる可能性があります。

また人の皮膚や目に対しての刺激性も強い為、使用には十分注意が必要です。

熔リン

栽培期間の長いトマト栽培の元肥の王道です。

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
熔リン20緩効性

熔リン 配合比

熔リン(熔成リン肥)はリン酸肥料としてゆっくり溶け出す「く熔成リン酸」を20%含んでいます。

それ以外にアルカリ性50%、苦土15%、ケイ酸20%を含んでいます。

土づくりのpH調整もできる為、苦土石灰の代わりに散布ししっかりすき込みしていきます。

熔リンはじっくり効いていくため補助として扱います。(元肥とは別に補充する

熔リンは素手で触ると、かぶれる可能性がありますので注意してください。

相性の良い野菜トマト、ナス、ピーマン

過リン酸石灰(過石)

酸性調整効果がない為、トマト元肥でそれ以外の肥料と併せて使用してます。

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
過リン酸石灰17~20速効性
過リン酸石灰 配合比
過リン酸石灰

過リン酸石灰は根から出る根酸程度の酸で熔リンより素早く溶けるのが特徴です。

熔リンが緩効性に対し過リン酸石灰は速効性の扱いとなります。

熔リン<過リン酸石灰<水溶性リン酸

pH調整効果もない為、元肥として使用します。

リン酸はpH調整の為の石灰や草木灰との同時使用をすると水に溶けずらくなってしまい肥料効果が悪くなる為、組み合わせには注意が必要です。

過リン酸石灰の使用は植付1週間前に「溝施肥」にて行います。

硫酸カリ(硫加)

追肥として使用してます。

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
硫酸カリ50速効性
硫酸カリ 配合比
硫酸カリ

硫酸カリはその名の通り、カリ肥料となります。

相性の良い野菜さつまいも、じゃがいも

元肥追肥としても使用ができます。

pHを酸性にする効果があります。

液肥使用:200倍(果菜類向け)

過剰散布で肥焼けする為注意が必要。

元肥硫安過リン酸石灰と混ぜて行う。

追肥硫安と混ぜて行うこともできます。

塩化カリ(塩加)

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
塩化カリ60速効性
塩化カリ 配合比

塩化カリはその名の通り、カリ肥料となります。

相性の悪い野菜さつまいも、じゃがいも

イモ類の施すと繊維質が多くなり不向きです。

相性の良い野菜:キャベツ、ニンジン

果菜類、果実のカリウム必要量が多いもの(追肥)

元肥追肥とも使用可。

液肥としての使用:200倍

葉面液肥:300倍カリウム欠乏対策時使用) 

与えすぎに注意が必要です。

吸湿性が高いので液肥とも使い切るようにしてください。

肥焼けを起こす可能性があり、pHを酸性にする効果があります。

以上が単肥の特徴と詳細です。
施肥について単純に考えることが出来、商品ごとの組み合わせで量を調整しやすいのが利点です。

配合比の高いものは少ない施肥で済み、経費削減となりますが
量の調整次第で過剰となりますので、おすすめした単肥が無難です。

化成肥料・配合肥料 成分一覧 特徴

化成肥料と配合肥料について説明していきます。
配合肥料は有機肥料一覧でも触れましたね。

化成肥料は複数の無機物から抽出した成分を化学処理で3要素のうち2種類以上を組み合わせた肥料となります。

形状は、粒、粉、液状と様々です。

配合肥料は単肥や有機肥料などを混ぜ合わせた肥料となります。

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方特徴・留意点
チッソ
(N)
リン
(P)
カリ
(K)
化成肥料普通化成888速効性速効性で使いやすい
高度化成151215速効性成分量多めで長く効く
配合肥料単肥配合777速効性粉状配合肥料で種類が多い
BB肥料151210速効性粒状で粉状に比べ使いやすい
有機入り配合151210速+緩効性単肥の速効性と有機質の緩効性
配合比と効き方

セル色付きが家庭菜園におすすめの肥料です。

普通化成

家庭菜園におすすめ‼
追肥の基準になる肥料です。

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
普通化成888速効性
普通化成 配合比

家庭菜園を始める方におすすめの肥料です。

バランスのとれた肥料となります。

普通化成はバランスのとれた、扱いのしやすい肥料の王道です。

追肥、元肥双方とも使用可。

1粒1粒の分量が同じの為、施しが容易

粒をコーティングして肥効期間を調整した「被覆肥料」。

チッソを水に溶けづらくした「IB化成」、緩効性を重視したタイプがあります。

普通化成の追肥でリン酸の効果が出ないため、リン酸を除いたチッソ、カリのみの「NK肥料」を使っていきます。

リン酸過剰になることを防いでいきます。

高度化成

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
高度化成151215速効性
高度化成 配合比

高度化成は配合比が普通化成の倍となります。

肥料の量を半分に減らせるという利点がありますが、広範囲に散布する場合は過剰散布になる可能性が高くなるため不向きです。

元肥追肥に使用できますが、過剰散布した場合、肥焼けや生育差が発生するため注意が必要です。

配合比は商品によります。

配合肥料について説明していきます。

単肥配合

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
単肥配合777速効性
単肥配合 配合比

単肥配合は先に紹介した単肥を混ぜ合わせて作った配合肥料です。

粉状配合肥料で組み合わせ次第で配合比も変わり種類が豊富です。

吸湿性が高く、固くなりやすい為使用は使い切りを念頭に置く必要があります。

また、素材の混合割合は確認が必要です。

BB肥料

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
BB肥料151210速効性
BB肥料 配合比

BB肥料は粒状配合肥料といいます。

1粒1配合となります。

肥料袋を開けると、チッソ、リン酸、カリと粒の色異なる

メリットとしては化成肥料に比べ重油や工業用水を使用しない為、環境にやさしく低コストで肥料化を実現。

土壌診断、野菜の施肥を基に商品を選ぶ。

1粒1配合の為、配合の偏りがないように注意が必要です。

有機入り配合肥料

スクロールできます
肥料の種類配合比(%)効き方
チッソ(N)リン(P)カリ(K)
有機入り配合151210速効性+緩効性
速効性 配合比

有機入り配合は油かす骨粉をベースに一部化成肥料を配合している肥料です。

有機肥料の緩効性と化成肥料の速効性の利点を活かした商品となります。

商品により混合割合は異なるため確認が必要です。

有機入り配合肥料とは、特徴について

化学肥料でもいろいろな種類がありますね。
単肥については扱いがしやすい印象です。

私の場合、追肥はNK化成
単肥の硫安硫酸カリの組み合わせで行っています。

施肥についての考え方

最後に肥料を施すにあたり、3要素の特徴と肥料のやり方を説明します。

肥料の要素特徴

元肥、追肥をするにあたり頭にいれておきたい基本となることを説明していきます。

3要素の特徴

1.チッソ…時間が経つと水に流れてしまいます。追肥投入したい

  (元肥鶏ふんを使用した場合は特に注意。1ヶ月で鶏ふん内のチッソは土中からなくなります

2. リン酸…効果が出るのに時間がかかる追肥で施したものは次の作物の栽培に効果が出る

  雨に流れづらく土中に留まり続ける為、累積しやすい

3. カリ…時間が経つと水に流れてしまいます。チッソ同様、追肥投入したい

3要素の特性を踏まえて肥料のあげ方を決めていきます。

肥料の投入方法

1.チッソ… 元肥で施肥量の50%、その後1ヶ月毎に残りの50%を振り分けて投入する。

2.リン酸… 追肥の効果はないので、元肥で施肥量の100%を投入しておく

3.カリ … 元肥で施肥量の50%、その後1ヶ月毎に残りの50%を振り分けて投入する。

特にリン酸は100%を最初に投入するようにした場合、
単肥(過リン酸石灰)の出番になります。

あとは追肥でチッソとカリを補充すればいいのか‼
わかりやすいですね!

野菜ごとの施肥量について把握する意味がここで活きてきます。

肥料は永続的に土壌内に残らないと思ってください。

1ヶ月という単位を目安に葉の様子などを確認しながら追肥をしていきましょう。

まとめ

今回は化学肥料の詳細について説明しました。

如何でしたか?

社会全般的に化学肥料の使用を控えていきたいという傾向はありますが、化学肥料を理解して始めて有機肥料を扱えるようになるのだと思います。

我が家の方針は化学肥料を使用し安定的な野菜作りをしつつ、同じ野菜を育てるにも一部を有機肥料を使用し無農薬にてトライをしています。

私個人の趣向ですが、化学肥料の中で特に使用しているものは、

スクロールできます
肥料種類肥料名用途
単肥硫安・過リン酸石灰・硫酸カリ追肥・元肥
化成肥料普通化成888・NK化成追肥
有機入り配合有機入り配合(玉ねぎ専用)元肥・追肥
個人的に使う化学肥料まとめ

となります。

NK化成は取り扱いしているお店が少なく、単肥で硫安と硫酸カリで代用しています。

普通化成については、使い勝手の良さから、常に家に常備しています。

化学肥料の良さ、有機質肥料双方の良さがわかれば、より野菜づくりは楽しくなるものです。

今回は以上となります。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。

有機肥料のことを知りたい方はこちら。

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